宅建業の開業について

宅建業を始めるには当然ながら宅建業の免許を取得しなければなりませんが、免許申請前に考えておくべきことが相当あります。

この免許申請前のプランニングを間違えて大やけどしないように、手堅く起業準備するようにしましょう。

宅建業を始める前に考慮しておくべきこと、準備しておくべきこと、陥りやすい失敗について解説してみたいと思います。
ここでは、現時点でサラリーマンの方が、今の会社を退職して独立起業するというシナリオで解説します。

独立前に考えておくべきこと

いきなり精神論で恐縮ですが、非常に大事なことなので我慢して読んでください。
サラリーマンから独立した経験のある私個人の見解ですので、参考にしてもらえると有難いです。

外注の活用について

あなたは自分で名刺や企業の印鑑を作ったことがありますか?普通ないでしょう。

サラリーマン時代は、人事、総務、経理、企画、営業が機能分化されておりますが、個人で独立する場合は、これらを全部自分一人でこなすことが必要になります。

特に大手企業に勤めている方に多いのが、個人事業家としてのこれらのスキルがないまま独立に踏み切ってしまうことです。
サラリーマンの戦闘力と個人事業家としての戦闘力は全く次元が違うということをまずは肝に銘じてください。

ただ今の時代は、個人起業を支援するサービスも豊富なメニューが用意されています。例えば、税務・会計は税理士に、会社設立は行政書士や司法書士に、WEB作成はWEB業者に、最近は営業代行してくれるサービスまで登場しています。

そこで、考えるべきは自分のスキルと時間、コストとを照らし合わせて何を使って何を使わないかを事前に判断しておくことです。例えば、私は会社設立や許認可の代行を業として行っていますので、一般の方より相当効率的に申請書の作成を行うことができますが、一般の方が自分の会社で一回きり行う会社設立や許認可を一から勉強するのは時間のムダであると考えます。

一方で、WEBサイトの運用をいきなり丸投げしてしまう人は今後食っていけないと考えます。私の場合、日々メンテナンスが必要なサイトは自分で運用し、高度なスキルが必要とされるマッチングサイトなどは外注しております。WEBサイトの運用については、改めて小規模宅建業のWEB戦略について記事で書きますので、そちらを参考にしてもらえれば幸いです。

起業後は、時間とカネがあっという間に消えていきます。自分の得意分野と不得意分野、そして、カネと時間を天秤にかけながら、どの部分を自分で完結して、どの部分を外注に出すかを起業前に考えておく必要があります。

宅建業開始までの時間プランニング

実は、宅建業で独立するには、現時点で宅建業の免許を取得している会社にお勤めの方が個人で宅建業で独立するより、宅建業と関係ない会社にお勤めの方が個人で宅建業の免許を取得するほうが圧倒的に時間短縮となります。

宅建業の会社に所属しているサラリーマン宅建士の方は、サラリーマンの会社退職後でなければ新設会社の専任の宅建士になることができません。
宅建業の免許申請の前提となる専任の宅建士は、現時点で勤め先がない状況を作らなければなりません。

流れとしては、

STEP1:今の会社の退職証明をもって、宅建士の登録変更を知事に申請する。
→ これで勤め先がない状態になる。
STEP2:新設した会社宅建業の免許を知事に申請する。
→ このときに新設会社で専任の宅建士(予定)として申請する。
STEP3:無事、宅建業の免許が取得できた後に、宅建士としての登録を新設会社にて申請する。

特に、サラリーマンの方は退職前に有休消化を行うでしょうが、普通の会社は有給消化後の退職日にしか退職証明書を発行しないので、有休消化中に会社設立しても宅建業の申請ができないのです。
(ただし、自分以外に専任の宅建士が手当てできている場合はこのように悩む必要ありません。)

※宅建士の資格試験に合格しただけで、宅建士の登録していない人は、そもそも専任の宅建士としての前提条件を欠くので急いで法定講習を申し込んでください。

会社設立

事業の開始前に必要となるのが会社。

会社定款には何を盛り込み、資本金はどのように設定し、役員を誰にするか?などを適当に決めると後々、大問題に発展します。

例えば、定款に何でもかんでも盛り込みすぎると銀行口座の開設の審査に不利に働いたり、資本金を過大に設定すると消費税の免税が受けられなかったり、役員の数が多ければ許認可を受けるに当たって書類が倍増したりと意外な落とし穴が沢山あります。

ここでは、宅建業にて起業を考えている方が会社設立前に考えておくべきポイントを中心に解説します。

設立時期

会社設立には、定款を作成して公証役場の認証を受けた後、資本金を払い込み、法務局に会社設立登記を持ち込む必要があります。

これらの一連の作業に2週間はかかります。宅建業の免許申請書には、会社の履歴五事項全部証明書を添付する必要があるので、宅建業の免許申請は、会社設立後となります。そして、宅建業の免許の標準処理期間は自治体によって異なりますが、通常30日~40日かかります。

いざ起業準備に取り掛かってから、宅建業での事業開始まで最短でも2か月、通常だと3か月、長くて4か月ぐらいの時間がかかってしまいます。

この間、宅建業の営業をすると違法なので、収入はゼロとなり事務所賃料や人件費などのコストが先行してかかり赤字営業からスタートします。

一方、会社設立で問題となるのは今のお勤めの会社の就業規則だけであり、これをクリアできると会社設立にかかる時間を短縮することができます
会社設立には、事務所の確保が必要ですが、退職時期(有休消化期間)とのバランスを考えて、会社設立時期を決めるのが妥当と考えます。

資本金

人材紹介業や旅行業の許認可には、資本金要件がありますが宅建業にはありません。

資本金要件に代わって宅建業では営業保証金制度を設けており消費者保護を図っています。

では、最低どのぐらい資本金を準備すべきでしょうか?

宅建業の免許取得には、申請から約30~40日の審査期間があり、この間は宅建業を営むことができません。これに会社設立の期間を加えると最低でも2~3か月は、収入無しの状態で相応の費用が前倒しで飛んでいくというのが宅建業の開始までの現実です。

ここは様々な意見はあるでしょうが、会社設立コスト、事務所敷金・賃料、口座開設など様々な要素を考慮すると300万円程度の資本金は必須であると考えます。

役員の数

結論から言うと、宅建業では一人社長での開業が最強です。

役員の数が多い場合のデメリットとしては、

・申請書類が役員の数だけ増加する。
宅建業の免許申請には、役員の履歴書、住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書などを全員分提出する必要があります。
これらを各行政窓口に取得に行ったり、郵送でやり取りしているとあっという間に時間が経過していきます。

・欠格リスクが役員の数だけ増加する。
過去に犯罪を行った方が役員となるケースはごくまれだと思いますが、禁固にならなくとも過去5年間で傷害罪などの罰金刑を受けた方が役員になっている場合は免許取得できません。パートナーとなる人が罰金刑を受けているかいないかなんて普通考えないので、意外な落としどころとなるケースがごくまれにあります。

一方でメリットはあまりないです、、、、
なお、役員の数が増えれば許認可の申請書類が増加するのは他の許認可でも同じなので、起業し始めは一人社長で許認可取得するのがベストだと考えます。
(ただし、その後役員追加の際は変更申請が必要なのはどの許認可も同じ)

定款記載の事業目的

定款記載の事業目的の記載に当たっての注意点は、宅建業に限るものではありません。

なぜ、ここをクローズアップさせるかというと、「法人の銀行口座開設」に支障がでるからです。ここが従来の常識と変わったポイントになりますのでプロ法務家でも知らない方が多いです。

従来、定款作成の場合、事業目的の記載には「とにかく考えられるだけの事業目的を書き込め」というのがこれまでの常識でした。理由としては、会社事業の追加の際、変更登記費用の節減が主な目的でした。

昨今、オレオレ詐欺などに代表されるようにマネーロンダリング規制が異常に厳しくなっております。正直、過剰と思われるような規制であり、まともにビジネスをやろうとしている人にとっては大変迷惑な話です。という愚痴を言っても仕方なく、今は普通に起業しても法人口座の開設につき金融機関の審査が通らないという事態が続発しています。

これには、定款作成段階にて対策があって、「定款記載の事業目的を一貫性のあるものにすること」です。
宅建業を始めたい人は、シンプルに不動産に関わる事業のみを記載することをお薦めいたします。

人それぞれの経験、資金力、事業構想によってあるべき会社形態もかわってくるはずです。

会社形態は、会社設立後の許認可、銀行口座の開設、資金調達に影響を与えるので、専門家と事前にすりあわせておくことをお勧めいたします。
宅建業開業サポートセンターでは、会社設立を単なる事務手続きとしてでなく、ビジネスコンサルタントの視点から最適な会社形態をご提案させていただきます。
(会社設立登記の代行は、提携司法書士をご紹介させていただきます。)

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