宅地建物取引士

データで見る宅地建物取引士試験

宅地建物取引士試験の概要

宅建試験は、毎年20万人以上の受験者が参加する運転免許試験に次ぐ規模の国家資格試験です。
令和5年(2023年度)の申込数は28万9千人、受験者数は23万3千人と年々受験者数の増加が顕著となっています。
毎年10月の第三日曜日に開催されており、令和6年については、令和6年10月20日(日)に予定されております。
申込は、インターネット及び郵送のいずれかで可能であり、令和6年の日程としては、インターネット申込が7月1日~7月31日、郵送申し込みが7月1日~7月16日となっております。

申込方法(予定)は、こちらをご参照ください。
https://www.retio.or.jp/exam/index.html

近年の合格率は概ね16%~17%で推移しており、毎年4万人前後の合格者を輩出しております。

近年の宅地建物取引士試験データ


データ出典:公益社団法人不動産流通推進センター「2023年不動産業統計集」及び一般財団法人不動産適正取引推進機構「試験実施状況」より(以下同)

宅建試験の合格点

宅建試験は、全問50点の4択マーク式となっております。なお、宅地建物取引業者に従事している人は、事前に「登録講習」を受けることにより、試験のうち5問が免除されるため一般受験者より有利に働くことになります。
過去の受験データから見れば、一般受験者の場合31点~38点、登録講習修了者の場合26点~33点と毎年の難易度によって異なりますが、過去の平均をとると一般受験者で35点、登録講習修了者で30点と7割程度の正解率が求められます。

受験戦略については、宅建業法や法令上の制限で確実に高得点を稼ぎながら、民法・借地借家法等の権利関係については、失点を極力防ぐというのが合格の王道と言えましょう。

宅地建物取引士の登録者の推移

以上のように毎年4万人前後の合格者を輩出している試験制度のため、年々登録者数は増加傾向にあります。
令和4年(2023年)度末時点における宅地建物取引士の登録者数は115万4979人となり、なんと国民の約100人に一人は宅地建物取引士となっています。これは登録者数だけを見たデータなので、未登録の木合格者を含めるともっと多い数になるものと思われます。

女性が増える宅地建物取引士

不動産業は元々、昭和時代から脈々と続く男社会でありました。一昔前、不動産業界の従事者を見ると男性が殆どであり、筆者が不動産業界に入った平成8年(1996年)当時は、感覚的には、女性は10人に1人もいなかったような感覚を持っております。現在でも、やはり男中心の古さが残る業界のイメージがありますが、宅建試験のデータを見ると、女性の合格者のシェアが近年急増しております。

元々、男女別の合格率を見ると、圧倒的に女性のほうが高い合格率の傾向がずっと続いております。令和5年の合格率を見ると男性16.5%に対し、女性18.3%となっております。

加えて、女性の受験者の増加に加え、上記の合格率の高さから、合格者に占める女性シェアは10年前との比較では31.7%から37.3%に躍進している状況です。

宅地建物取引士の魅力

以上、宅地建物取引士をデータから見てみました。なぜ、宅建士の資格がこんなに多くの人を惹きつけるのかについて、その魅力について考えてみましょう。

魅力1 不動産業界の全体像を理解することができる

宅建業イコール不動産業ではないものの、殆どの不動産事業者は宅建免許を保有しています。不動産業界で働く人にとって、不動産に関連する基幹的な法律の知識を面的に学習するには、宅建試験の学習が最も適していると思います。
宅建試験の受験科目には、民法・借地借家法をはじめ、区分所有法、都市計画法、建築基準法などの不動産関連の基幹的法令をはじめ、税制や登記、鑑定評価などの派生分野も含むため、不動産業界に従事する人にとっては、欠かせない知識がほぼ網羅されています。
長年のキャリアを積んだベテラン社員でも、法改正の流れについていく必要があり、基礎的知識のブラッシュアップが欠かせないものとなっています。このような不動産業界の基幹的知識を習得できるのが宅建試験の第一の魅力であると考えます。

魅力2 転職・キャリアアップに有利となる

宅建試験は不動産業界内における転職においては必須の資格ですが、不動産業の専業でない事業者、例えば金融業や倉庫業などにおいても宅建士資格保有者は厚遇される傾向があります。例えば、金融業の場合においても、不動産担保融資の局面や、信用調査の局面において不動産の知識は欠かせないものとなります。また、基礎的な民法等の法令知識を有している証となり、どの業界においても履歴書にはアピールポイントとなることは間違いないです。
特に、宅建業者においては、専任の取引士の設置基準(5人に1人ルール)があることから、宅建士の数の確保は経営課題となっている事業者も多く、宅建士の資格保有者は資格手当が支給されるなど待遇面でも厚遇される傾向があります。

魅力3 その他不動産業関連資格の登竜門となる

不動産関連ビジネスは裾野が広く、多くの士業が不動産業界のサポート役として活躍しております。不動産業界に関連する資格をざっと挙げてみると次の通りとなります。

宅地建物取引士 売買・賃貸の媒介における重要事項説明業務
行政書士 建設業や宅建業の免許申請業務
司法書士 不動産登記はもちろん、業者の設立、役員変更登記業務
弁護士 不動産に関する紛争の代理人としての業務
税理士 所得税、法人税、相続税など不動産に関連する税務業務
一級/二級建築士 建物の設計に関連する業務
土地家屋調査士 土地の境界確定、建物の表題登記など不動産取引には必須の業務
不動産鑑定士 地価公示などの公的評価に加え、民間取引における価格算定業務

不動産関連法令、登記、税務、建築などの基礎的知識を宅建士試験において学習したのちに、これらの難関資格にチャレンジしていきキャリアアップを図っていく方も非常に多いです。
特に、不動産分野のエキスパートとして不動産鑑定士の受験にチャレンジする方も比較的多い印象です。
不動産を極めたいという方にはおすすめの資格ですので、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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