宅地建物取引士 宅地建物取引業

宅建試験合格から開業までの流れ

宅建士の試験に合格後、独立して不動産屋(宅建業者)を開業する基本ステップについて解説します。

宅建業者には、個人業者と法人業者の区別がありますが、ここでは会社設立して法人にて宅建免許を取得する前提で大まかなポイントを解説してみたいと思います。

※個人業者として宅建業免許申請も可能ですが、ここでは議論を単純化するために法人での宅建業免許取得にスポットをあてて解説します。
まずは、大まかなフロー図をみてください。

宅建業の開業までのステップとしては、個人の宅建士としての登録と法人としての宅建業の免許取得の大きく2つのステップに分かれます。

【宅地建物取引士 個人として行うべきこと】

宅建試験に合格するだけでは「宅建士」ではありません。
単なる「宅建試験合格者」です。

宅建試験合格者は、不動産会社(宅建業の会社)に勤務しない限りは、登録をする必要もありません。

ただ、宅建業を営む会社で宅建士として業務を行う場合においては、宅建士の登録を受け、更に宅建士証を取得しなければ正式な宅建士ではありません(宅建業法第2条4項)。

ステップ1:宅地建物取引士試験に合格

宅建士試験は、毎年10月の第三日曜日に実施され、12月上旬に合格発表、その後合格証書が郵送されてきます。

この宅建士試験の合格者の実務経験の有無によって、登録実務講習の必要の有無が分かれてきます。

不動産会社(宅建業者)での勤務経験が過去10年間において2年以上の人は、登録実務講習が免除されますが、実務経験がない人は登録実務講習を受講する必要があります。

実務経験が2年以上ない人:宅建の合格証が届いたらいの一番でやること→登録実務講習(実務講習)の予約。

ステップ2:都道府県知事の登録

実務経験がある人は実務経験の証明を添付して、実務経験がない人は上記の登録実務講習の修了証を添付して、その他諸々の資料(これが半端なく多いです)と一緒に宅建士試験合格地の都道府県に宅地建物取引士の登録申請を行います。

この登録の申請後、約30日で登録決定通知書が郵送されてきます。

ステップ3:宅地建物取引士証の取得

ここが宅建士になるための最終ステップです。

宅建士として宅建業に従事するためには、ステップ2の登録に加え宅地建物取引士証(宅建士証)の交付申請をステップ2で登録都道府県行い、交付を受ける必要があります。書類さえ揃っていれば、宅建士証は即日交付されます。

ここで注意が必要なのは、宅建試験合格後1年以内に取引士証を取得しなければ、別途、宅建士証取得のための「法定講習」を受けなければならないので、サクサクっと済ませてしまいましょう。

なお、宅建試験に合格したが、当面不動産会社に勤務しない方は、ステップ2の登録だけしておくといいと思います。登録しなくてもいいですが、後に転職などで不動産会社に就職する場合は、登録しておいたほうが有利になると思います。

【宅地建物取引業者 法人として行うべきこと】

宅建業者は専任の宅建士を少なくとも一人以上設置する義務がありますが、一人起業の場合、代表と専任の宅建士を兼ねることは可能です。
(専任の宅建士の要件については、細かいルールがあるので別に解説します)

ステップ4:事務所の確保

会社設立には、本店を決めなければならないので、まず事務所を確保する必要があります。
この登記上の本店が自ずと宅建業者としての本店になりますので、宅建業免許取得の要件を満たした事務所を確保する必要があります。
(事務所要件については別途詳細解説します)

ステップ5:会社設立

次に、定款を作成し定款認証を受け、当初資本金の払い込みを行い、会社設立を行います。
会社設立後は法務局にて商業登記を完了させます。
これで会社の出来上がりであり、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)が法務局から発行されます。

ここで初めて、宅建免許の申請が可能となります。

ステップ6:宅地建物取引業 免許申請

宅建免許申請に必要な書類を収集し、申請書とともに収集した書類を添付して本店所在地の都道府県の宅建業監督窓口に提出します。

書類に不備があると受付すらしてもらえません

できれば宅建業に精通したプロのチェックを受けて申請を行うのが無難です。宅建免許の標準審査期間は知事免許の場合30日~40日(大臣免許の場合100日)とされています。(ただし、これより実際は短くなる場合もあり)

宅建免許申請から免許取得(営業開始)までには、宅建協会・保証協会等への加入手続きなどもあり、宅建免許申請書とは別に膨大な書類の準備が必要となります。実はこちらの書類のほうが多いです。

ステップ7:宅建免許証取得

宅建免許が無事に下りるとまず、免許通知書が申請した本店に送付されてきます。

この通知書が到来しても営業開始できません

その後に営業保証金(保証協会利用の場合は弁済保証業務分担金)を供託した後、免許通知書と供託済証を併せて再度、都道府県の免許窓口に赴きます。そして、その場で宅地建物取引業の免許証が交付されます。

これで晴れて、宅建業者としての営業活動が開始できます。

いかがでしょうか?この遠大な道のり。宅建免許取得は、膨大な時間をかければ十分自分でできます。

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