不動産統計

激減する訪日観光客(2020年3月速報値)

2019年12月、中国武漢市でコロナウイルスの最初の症例が報告されて以降、「武漢が凄いことになっている」と他人のように見ていた世界中の人にとって、コロナウイルスの猛威は、今や正にそこにある危機となって襲い掛かっている状況です。

日本の観光産業も大きな打撃を受け、観光業、宿泊業とも総崩れの状況にあります。

コロナショックの影響にて、訪日外国人数が激減したということは感覚的には理解できるのですが、一体どの程度減少しているのでしょうか?

ここに興味深い統計があるので過年度データと直近データを時系列に並べてみました。

データ出典:JNTO日本政府観光局「訪日外客数の動向」

直近のデータは速報値で2020年3月までのものが掲載されていますので、それを元にグラフ化すると次のようになります。

訪日外客数 総数 月次データ

訪日外国人数の月次データを10年前からプロットしたものです。(単位:人)

東日本大震災直後に、一時期的に落ち込んだ訪日外国人数ですが、官民挙げての「VISIT JAPAN」の努力の結果もあり順調に上昇してきました。
それが2020年2月及び3月のデータから一直線に下落しています。

訪日外客数の総数ベース(3月速報値)としては、前年同月比93%の減少となっています。

コロナショックによる入国制限が課され出された2月頃から時間の経過に伴い制限が厳しくなっていたので、当然の結果とも言えますが、これまでの外国人観光客の伸びが一気にゼロレベル付近となったことが感覚的に見て取れます。

訪日外客数 主要4地域 月次データ

次のデータは、韓国、中国、台湾、香港の主要4地域の月次データです。

ビジュアルでも確認できる通り、訪日観光客の最大勢力であった中国大陸からの訪日数の減少インパクトが凄まじいことが見て取れます。

2019年の春節休暇が2月4日~10日、2020年の春節休暇が1月24日~30日であったという要因を差し引いても、相当な減少であることが見て取れます。

一方、中国と同程度のシェアを占めていた韓国はこのコロナショック以前から日韓関係の悪化の影響を受け既に減少に転じていたのも興味深いデータと言えます。

2020年1月~3月の単月データを前年比比較すると次のようになります。

外国人数が全体で▲93.0%の減少となった内訳を見てみると、シェアが最も大きかった中国の減少が特に目立つ形となっています。

中国は3月単月で見ると前年が約69万人であったのが、2020年3月の速報値では約1万人となり、減少率は98.5%となりました。
推測ですが、この1万人は、3月の上旬頃までに駆け込みで入国したビジネスマンや家族などが中心でしょうから、観光客はほぼゼロになってものと考えられます。

2020年4月3日以降は、日本への入国制限が殆どの主要国に対して課せられており、ほぼ外国人入国者数はゼロに限りなく近い数値になることはほぼ確実です。
足元のインバウンドマーケットを見ると、以上で見てきた2020年3月までの状況より、更に悪化しているということは間違いなく指摘できると考えます。

一方、韓国は昨年から日韓関係の悪化の影響もあり、訪日韓国人数がこのコロナショック前から減少していたというのも特徴的です。
(2020年1月で既に▲59.4%)

全体的に見れば、4月以降のデータはほぼゼロになることが予想されます。

ホテル、観光業界へのインパクトは4月以降に更に顕在化していくでしょうから、資本力の低い零細ホテルの破綻、廃業が続くことになるでしょう。

ホテルのADRや稼働率も軒並み激減しています。

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