書籍タイトル 首都圏大予測 これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブだ! (光文社新書)
書評
三浦展さんという方をご存じでしょうか?
一言で言うと天才です。
まず、三浦展さんの経歴を同氏の主催する「カルチャースタディーズ研究所」のWEBサイトから引用させてもらいます。
社会デザイン研究者 1958年生まれ。
82年 一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。
マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。
86年 同誌編集長。
90年 三菱総合研究所入社。
99年 「カルチャースタディーズ研究所」設立。
消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。
著書に、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、主著として『第四の消費』『家族と幸福の戦後史』『ファスト風土化する日本』がある。
その他、近著として『データでわかる2030年の日本』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『富裕層の財布』『日本の地価が3分の1になる!』『東京郊外の生存競争が始まった』『中高年シングルが日本を動かす』など多数。
三浦展さんの凄いところは、挙げ出したらキリがないのですが、まずを以て凄いのは圧倒的な質の高い書籍の著作量を誇ることです。
私が三浦展さんの著作に出会ったのは、シェアハウスビジネスを研究しようとしていたときに出会った「これからのシェアハウスビジネス」という本がきっかけでした。
具体的な取材を元に、カルチャー論をミックスさせる展開に魅せられた記憶があります。
その後、三浦展さんのファンになり、同氏の出版された本を読み漁った時期があります。
三浦氏が他の都市論者と違うのは、緻密なデータ分析力に、文化論を掛け算して都市問題を提示して見せるところです。
こんな三浦氏による新作が本書「首都圏大予測」です。
奇しくも本書の出版は2020年2月と新型コロナウイルスの発生と重なってしまい、都市予測への不確実な変数が突然出現しました。
しかし、私が本書を読んで驚いたのは、コロナショックで騒がれている「リモートワーク」などの潮流を言い当てている点です。
(この本の執筆時点では、コロナショックという変数を予知できなかったはずです。)
ますます三浦氏のファンになってしまいました笑
この本は、いつもながら非常に示唆に富む本です。
・埼玉県だけ東京都に対して転入超過となっている
・東京は全体として北に向かっている。
イケている街とこれから沈みそうな街が本書を読むとなるほど~と思えるはずです。
本書の面白いところは、各章に挿入された「視点」というコラムです。
タイトルだけでもワクワクしますね。
・駅前集中型再開発の終わり 京王線、小田急線を例に
・郊外に根差した開発 川崎を例に
・郊外内の格差 横浜を例に
・ショッピングモール化する街 吉祥寺を例に
・消費する郊外 南町田を例に
・郊外の新しい人間関係 小金井を例に
そして、同氏の唱える「クリエイティブ・サバーブ」とは?
「ワーカブル」で「夜の娯楽」があり、多用なスキルとモノと場所の「シェア」ができ、そこで生まれる多様な人間関係の中から新しいものがクリエイトされる郊外
では、どの街、エリアがクリエイティブサバーブとなる条件を満たしているか?
流石にネタバレしすぎなので、本書でご確認ください。
三浦展さんが主催する消費・文化・都市研究のためのシンクタンク「カルチャースタディーズ研究所」のリンクはこちら↓
カルチャースタディーズ研究所
序章 埼玉と「東京北側の逆襲」
第1章 これからまだ成長する郊外はどこだ!?
第2章 23区から人口を奪えるのはどこか?
第3章 台頭する新しい拠点
第4章 仕事が選べる街に住みたい
第5章 「趣都圏」の誕生
結 クリアティブ・サバ―ブの時代
こんな人におススメ
・デベロッパーの住宅部門、都市再開発部門に勤務している人
・都市学に興味ある人
書籍データ
出版社 光文社新書
著者 三浦 展
首都圏大予測 これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブだ! (光文社新書)
おススメ 三浦展さんの都市論本
著者の三浦展さんは、首都圏の街評論家の第一人者であり、これまで多くの話題本を出版してきました。
データを元に、かつ、感性豊かに首都圏の街の未来を明快に解きほぐす天才です。
是非、こちらの書籍もご一読を!