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おススメ書籍 【新・都市論TOKYO】

書籍タイトル 新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

書評

建築家:隈研吾氏と都市ジャーナリスト清野由美氏による街歩き対談集

隈研吾さんと言えば、2020年東京オリンピックのメイン会場である新国立競技場「杜のスタジアム」の設計で最近はメディアでも引っ張りだこの方ですね。

建築家としても文筆家としても正に異才の方です。

話の聞き手である都市ジャーナリストである清野由美氏。

最近では、アレックスカー氏との共著「観光亡国論」の聞き手役として登場するなど、都市論・観光論などの分野における気鋭のジャーナリストです。

本書では、東京都心の再開発事例地として、汐留→丸の内→六本木ヒルズ→代官山→町田を2人が歩きながら都市論を語りつくします。

日本の都市再開発の限界からくる2人のフラストレーション発散本とも言え、日本の都市開発に対するDisりトークが繰り広げられています。

東京という都市の再開発事例をシニカルに、辛辣に、メッタ打ちに批評していきます。

本書の基調テーマは「成熟期における都市開発」

本書から一部抜粋してみましょう。

再開発とは成熟化社会に与えられたつらい宿題である。
(汐留の開発について)日本が都市計画的調整、すなわち「大きな調整」をどれほど苦手としているのか、これほど巨大な実物を通じて露呈させた例は他にない。結果として、でき上った風景は郊外の建て売り住宅を巨大化したものだと評された。
今どきのデベロッパーは大プロジェクトであればあるほど、流行のインテリアデザインでお化粧して、とりあえずリスクを回避しようとするので、同時代のものは世界中同じ雰囲気なのです。
今や日本のサラリーマン社会は、自分の代わりにリスクを負ってくれる人がもっともありがたがられる社会。それが日本の大企業体質の、一つの帰結であった。
大きな都市開発プロジェクトほど、クリエティビティではなくリスク管理能力が求められる。
日本の都市は金融テクノロジーのような抽象的な手法によって解かれるべきではなくて、その土地に根差したリアルで泥臭い手法で解かれるべきなんです。
(六本木ヒルズの開発に関して)他の大手デベロッパーは、組織自体が非常に洗練されており、そこにいる人間も知的で礼儀正しくて上品なのだけど、どうしても平均点の開発になります。
リスクが分散し、その結果、都市再開発がどんどん「概念」と化してしまうことです。概念の街、ヴァーチャルシティになってしまうと、実際の生身の人間がそこでどう働き、遊び、生活するのかみえなくなってしまいます。

このように現在、あちこちで行われている都市再開発の空虚さを実例の街を通じて批評していきます。

隈研吾氏自身は、三井、三菱のようなエスタブリッシュメント企業に対するルサンチマン精神を有し、森ビルなどのトップダウン型、ガツガツ系デベロッパーにシンパシーを感じているように見受けれます。

隈研吾氏ご本人も六本木ヒルズの設計デザインに関与していることから「森ビル愛」を強く感じる形となっているので、そこはやや引き算が必要かな?という感じもしました笑

本書では、日本の都市開発に関して、「言われてみればその通り」というトークがふんだんに展開されるので、都市開発に携わるデべロッパーの若手などには是非読んでもらいたいです。

読後には、「おっしゃっていることはごもっともなのですが、っで?日本ではどうすんの?」という感想も持つと思います。

その解は個別の企業や開発担当者が考えていくしかないのです。

本書の構成
都市開発の手法を概観する
第1回 汐留―悲しい「白鳥の歌」が響き渡る二一世紀の大再開発
第2回 丸の内―東京の超一等地に三菱の「余裕」がどこまで肉薄するか
第3回 六本木ヒルズ―森稔の執念が結実した東京の蜃気楼
第4回 代官山―凶暴な熊に荒らされる運命のユートピア
第5回 町田―「郊外」かと思っていたら「都市」だったという逆説
対話篇 そして北京

こんな人におススメ

・デベロッパーの若手担当者
・不動産業界、デベロッパー志望の就活生
・都市開発に興味のある方

書籍データ

書籍タイトル 新・都市論TOKYO
出版社 集英社新書
隈 研吾 (著), 清野 由美 (著)

新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

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