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おススメ書籍 【新・ムラ論TOKYO】

書籍タイトル 新・ムラ論TOKYO (集英社新書)

書評

2008年に発行された「新・都市論TOKYO」の続編である建築家:隈研吾氏と都市ジャーナリスト清野由美氏による街歩き対談集

「新・都市論TOKYO」では東京都心部における大規模開発地である汐留、丸の内、六本木などのキラキラ系の開発地を2人が訪れ都市開発論を展開する構成でした。

本書「新・ムラ論TOKYO」では、前回と様相がことなり都市と「ムラ」について2人が語りつくしていきます。

本書では「都市」「村」「ムラ」は区別して論じられ、「都市の中のムラ」をテーマに2人が語りつくしていきます。

不思議なことに19世紀、20世紀、21世紀では、社会と建築との間に大きな変化があった。社会が建築を作る「動機」に、大きな変化があったのだ。動機が変化した結果、村が都市に変わり、また、再び都市がムラに転換しつつある。都市以前の「村」、都市以後の「ムラ」は異なる。

20世紀では木造の村の破壊を通じて、コンクリートの塊の集合体ともいえる都市への大転換の時代であり、空間というものが商品化された時代でありました。

このような都市の中に、稀有な例ではあるが、「ムラ」(村でない)がよみがえりつつあるというのが隈氏の見方。

しかし、村はよみがえりつつあると、僕は感じている。なぜなら村を破壊するシステムそれ自体が自壊を始めたからだ。
空間の商品化は、村を破壊し、世界を都市で塗りつぶしていったが、今やそのシステム自体も崩壊しつつある。それが空間というヤバい商品の行きつく先であった。
東京のビッグバンプロジェクトは全て、金融ファンドというヴァーチャルなシステムに乗っかったプロジェクトで、人間がそこで生きる、という建築としてのリアリティは確立できませんでした。

都市の中における「ムラ」を探しに、2人は、下北沢、高円寺、秋葉原、小布施という異なる顔を持つ街を観察しに行きます。

「ユーモア」「エロさ」「萌え」「ロマンチィシズム」を失った都心の大規模再開発が如何にツマラナイものかを説いていきます。

建築業界の巨匠である隈研吾さんが、アキバのメイドカフェで童心に戻って楽しそうにしているのが印象的でした(笑)

姉妹本である「新・都市論TOKYO」と併せて読むと現代版の都市開発に何が足りないのかの着想を得ることができると思います。

本書の構成
第1回 下北沢(「自由」を謳歌する路地裏に、戦後の巨大道路計画が忍び寄る
都市計画とは運動神経だ ほか)
第2回 高円寺(高円寺を「ムラ」たらしめているものとは
湯と石鹸の香り漂う商店街 ほか)
第3回 秋葉原(アキバムラのヘンタイ性こそが日本の未来を拓く
ラジオ、家電、パソコン、萌え ほか)
第4回 小布施(小布施という町の「都市性」
「町並み修景事業」という頭脳パズル ほか)

こんな人におススメ

・デベロッパーの若手担当者
・不動産業界、デベロッパー志望の就活生
・都市開発に興味のある方

書籍データ

書籍タイトル 新・ムラ論TOKYO
出版社 集英社新書
隈 研吾 (著), 清野 由美 (著)

新・ムラ論TOKYO (集英社新書)

姉妹書 新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

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