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おススメ書籍 【大家さん救う正攻法・悪質借家人の追い出し方 】

書籍タイトル 大家さん救う正攻法・悪質借家人の追い出し方

書評

大家さんの味方である山崎弁護士による悪質借家人の追い出し方マニュアル本

弁護士の書かれた書籍としては、かなり異色のものです。

本書の全体のトーンとしてかなりオーナーよりの見方が目立つものの、世の中には悪質な借家人がいるというのもこれまた事実です。

賃料を平然と踏み倒す借家人、家財を放置して逃げてしまう借家人。

日本には民法の特例法である借地借家法(旧借家法)にて、強い立場である大家に対して弱者たる借家人を守るというトーンで立法化されていることから、このような悪質借家人に対しても意外に大家は無力です。

自力救済が認められていない大家としては、どうしようもなく困った借家人に対して、この本による防御策も一つのアイディアになるかもしれません。

冒頭で申し上げておくと、この本は、大家に有利な判決を積極的に取り上げている傾向がある一方で、不利な判決は積極的に取り上げられいないというところに注意すべきです。

不動産屋の本棚には決して置かないように、こっそり読んでください。

本書の構成
第1章 時代遅れの借家の法律は死んでいる
第2章 後悔しない貸し方・書式の作り方
第3章 この方法で徹底的に賃借人を追い出せ
第4章 立退き・明渡しの交渉と手続き
第5章 定期建物賃貸借契約の仕方 

借地借家法の教科書はどれもお行儀のいい本ばかりで、弁護士の書いたものが多いためか何を言っているのか正直分かりにくい本が殆どです。

不動産系の資格にでてくる民法や借地借家法に至っては、「賃貸借は信頼関係、以上」で終わっているものもあり、賃貸人と賃借人の関係がこじれた場合における処理が実務でどうなっているか知る由もありません。

また、賃借人に有利な法制度となっているからこそ、大家が防御的になり優良な賃貸住宅の供給が進まないという側面もあります。

本書で書かれているような悪質借家人コストを社会全体で負担しているといっても過言でないと考えます。

そのようになんとなく考えていたところ、センセーショナルなタイトルに引かれて購入したのがこの一冊です。

本書全体のトーンを代表しているのが「家主が人情を出せば借家人はますますつけあがる」というこの本に記載されている文言です。

本書の中には、これで本当に立ち退きできるのか?という疑問を持つくだりもかなり多いので、全部を無邪気に信じてしまうのもどうかな?と感じました。
例:P148 明渡請求する前に必要な手続き

なお、本書は、悪質借家人に対する追い出しマニュアルなので、当然ながら平時では濫用できないものなので要注意です。

「大正時代の事情を平成時代に持ち込み、通リいっぺんの正当事由の適用で家主の言い分を聞かぬ世間知らずの法律家は、これからは通用しない」

刺激的であり、挑戦的な本です。

マスメディアでこの本の内容を元に発言するときっと袋叩きにされると思います。

読み物としてはかなり面白い本です。

書籍データ

書籍タイトル 大家さん救う正攻法・悪質借家人の追い出し方
出版社 自由国民社
著者 弁護士 山崎郁雄

大家さん救う正攻法・悪質借家人の追い出し方

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