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おススメ書籍 【未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること】

書籍タイトル 未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること (講談社現代新書)

書評

ベストセラーとなった「未来の年表」の著者である河合雅司さんの姉妹本「未来の地図帳」

未来の年表では、未来の時系列を重視していたものを、本書では、日本地図上で将来起こり得ることを整理したものとなっています。

本格的な人口減少社会を迎える日本において、人口増減の地域差はどのように進んでいくのか?各地域の問題点は何か?ということを地図を中心に分かりやすく解説しています。

まずは日本全体の動きについて

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2017年)によれば、わずか40年後には9000万人を下回って、現在より3割ほど少ない「7割国家」となる。そして100年後も経たないうちに人口は半減する。

そして、本書で明らかにされるのが「人口減少の地域差」である。

データを詳細に見ると意外な姿が浮かび上がります。

東京圏への若者の転出超過で最も多いのは大阪府の1万657人、次いで兵庫県(7356人)、愛知県(7164人)と大都市圏を構成する府県が続く。以下、北海道、福岡県、新潟県、静岡県、宮城県と政令指定都市のある県が並ぶ。

一方、東京以外の都市圏においては、上記の道府県の中心市街地が周辺の市町村から人口を吸い上げていく姿が浮かび上がります。

つまり、今起きている人口の流れは、地方都市の周辺地域→地方都市の中心市街地→東京圏という人口移動が起きており、いずれ、地方都市の周辺地域が人を地方都市の中心市街地に送り出せなくなり、さらに、東京圏にも送り出せなくなるという近未来が待ち受けているのです。

従来、日本では人口が増加することを前提とした社会制度、都市インフラが構築されてきたものが、一気に反転して急激な人口減少社会を迎えることになります。

人口予測ほど正確に当たる予想はないとも言われており、今後確実に、日本は人口だけで見れば、スポンジのようなスカスカの国になっていきます。

そこで、面的広がりを前提とした都市開発を点に集約していくという発想の転換が必要とされます。
本書では「戦略的に縮む」ということが提唱されています。

地域別にデータを見ると更に面白いです。
・埼玉県(特にさいたま市)は対東京都、神奈川県で転入超過となっている。
・福岡市は、若い世代(25~29歳)の人口は、男性46.4%、女性53.6%と東京と並ぶレディースシティ
・人口減少が顕著な北海道であるが、札幌市だけは200万人都市目前となるなど人口増加傾向にある。
 (しかし、北海道より集められた人口が東京圏に押し出されていく)

このような人口減少の逆風が吹き荒れる日本、特に地方圏における今後の街づくりにおいては、コンパクトシティやエリアマネジメントの重要性が際立っていくものと考えられます。

また、地方圏のオフィスビルや商業施設などの今後を占うには、生産年齢人口の動向にケアしておかなければ、とんでもない空室率に苛まれるアセットが続出する可能性も高いものと考えます。

今後の不動産マーケットを考えるに当たって基礎的データを面白く提供してくれる一冊です。

本書の構成
第1部 現在の人口減少地図―日本人はこう移動している(市区町村による“住民の綱引き”に勝者はいない
東京圏 東京は共存の道を探るべき「日本の外国」である
関西圏 三大都市圏の中で減少スピードが最も速いのは、関西圏 ほか)
第2部 未来の日本ランキング―20年後、日本人はどこに暮らしているか(塗り替えられてゆく日本列島
都道府県の人口差は30倍超へ
東京圏という「外国」は、老化に苦しむ ほか)
第3部 それぞれの「王国」の作りかた(なぜ地方創生はうまくいかないのか?
令和時代に求められる5つの視点)

こんな人におススメ

・不動産事業者全般
・不動産業界、デベロッパー志望の就活生

書籍データ

未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること
出版社 講談社現代新書
河合 雅司 (著)

未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること (講談社現代新書)

姉妹書 未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

姉妹書 未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)

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