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おススメ書籍 【図解 不動産証券化とJ-REITがわかる本 】

書籍タイトル 図解 不動産証券化とJ-REITがわかる本

書評

三菱UFJ信託銀行 不動産コンサルティング部による不動産証券化入門本。

本書は、入門本でありながら不動産の証券化に関する論点をほぼ網羅している良本です。

1990年代のバブル崩壊前までは、不動産金融は伝統的な企業融資(コーポレートローン)を中心でした。

不動産会社自体と不動産そのものが与信の対象となり、不動産の価値のみならず企業の実績、信用によって資金調達力が変わるという側面がありました。

その後2000年代を迎え、不動産私募ファンドの台頭、J-REITの上場などにより、不動産と金融の関係に「証券化」というキーワードが定着していきました。

更に昨今では、大手不動産会社のみならず中堅不動産会社までもが傘下に公募REITと私募REITを運営し、更にこれらにGK-TK、TMKなどの私募ファンド方式を含めれば、いわゆる出口戦略が多様化しているというのが現状です。

これまでの状況で言えば、不動産投資顧問会社や不動産ファイナンス部門の専門的知識を持った社員だけで、これらのストラクチャーものに対応してきたと言えましょう。

しかしながら、上述のような出口戦略の多様化が加速する現状においては、一般のデべ部門や流通部門の社員であっても基礎的な不動産証券化関連知識が必要とされる時代になってきています。

今後は、このような状況が加速することはあっても減退することは無いでしょう。

しかしながら、不動産証券化関連本には、「適当にかかれた超簡単なもの」と「弁護士などの専門家が書いた超難解なもの」しかありませんでした。

このような意味において本書は、実務の観点から書かれた非常にバランスが取れた書籍であると言えます。

タイトルは、「不動産証券化とJ-REIT」とありますが、私募ファンド関連スキーム、私募REITの説明も網羅的になされているので、書籍全体の構成のバランスが非常にいいのも特徴です。

これから不動産証券化を学びたいという人にとっては、少し背伸びすれば十分読める本です。

是非トライしてみてださい!

「図解」とありますが、あまり図がないので、???と思うかもしれませんが、ご愛敬ということで。

あと、出版が2013年とやや古いですが、不動産証券化、不動産ファイナンス関連の基礎的な概念は変っていないので、十分に有用です。

この本をベースに次への知識の発展に繋げていくとベターだと思います。

全く不動産の知識がない人にはやや難しいかも知れませんが、デべ入社2~3年目の社員であれば十二分に読みこなせるはずです。

本書の構成
第1章 不動産証券化の歴史
第2章 不動産証券化の仕組み
第3章 不動産証券化に係るテクニックとインフラ
第4章 不動産ファンドの動向① 私募ファンド
第5章 不動産ファンドの動向② J-REIT
第6章 不動産ファンドの動向③ 私募REIT
第7章 不動産証券化を支える法制度
第8章 オリジネーターから見た会計上の留意点
第9章 不動産投資を理解する判断指標
第10章 不動産証券化のケーススタディ
第11章 欧米に学ぶ不動産証券化の問題点

こんな人におススメ

・不動産AM会社へ出向を命じられたデベロッパー社員
・不動産AM会社に転職を考えている方
・不動産会社の中でファンド関連ビジネスに携わる社員
・デベロッパーの若手社員

書籍データ

書籍タイトル 図解 不動産証券化とJ-REITがわかる本
出版社 東京経済新報社
著者 三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部

図解 不動産証券化とJ-REITがわかる本

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