書籍タイトル 不動産取引の会計・税務Q&A(第4版)
書評
新日本監査法人、EYグループによる不動産の会計・税務Q&A本
新日本監査法人&EYというと日本の四大監査法人の一つ。
そのEYが2008年に初版を出版したのが本書
以降、税務や会計の最新情報を更新しており、現在においては第4版が出版されています。
(私の保有しているものは第3版ですが、内容大きく変わらないでしょうから、手元の第3版に基づいて説明させていただきます。)
不動産デベロッパーや不動産会社の中で財務、経理部門以外の人は意外に不動産にまつわる財務会計に無頓着です。
私自身も、鑑定、売買などのセクションを中心にキャリア形成し、資格も法務系の資格をたまたま受験してきたことから財務会計には苦手意識があります。
ただ、実務を進めていくと逃げられないの不動産に関する財務会計と税務です。
会計士や税理士の方にサポートいただくのはもちろんですが、基礎的な概念が理解できなければ、これらの専門家の方からの説明がちんぷんかんぷんになってしまい、社内説明がそもそもできません。
ましてや、不動産コンサルティングの分野でお客様に説明する際においては、「私、財務会計の専門家でありませんので」と逃げるわけにはいかない場面に直面してしまいます。
結局、不動産業務というのは、建築、法務と会計・税務と金融の総合格闘技戦でありながら、業務が細分化されていて、それぞれの分野における「専門バカ」が多いのが実態でないでしょうか?
この本は、目次の通り、不動産の取得、開発、保有、運用、売却に至る時間軸ごとに整理されており、その各フェイズごとにおける会計に纏わる論点をQ&A方式で解説していくといスタイルをとっております。
特徴としては、Qが簡潔で、Aが非常に詳しく書かれているところです。
また、会計・税務だけでなく、そもそもの法律の意義なども丁寧に解説されていることから、正直これ一冊で法務の論点も一定程度吸い上げることができると考えます。
後段の不動産証券化に係る会計処理に関しても論点が整理されており、不動産投資ファンド業界、AM業界の担当者にとっては非常に有益な情報を与えてくれます。
全てを読む必要はないですが、現時点での業務に関連する分野については、この本に書かれている財務会計の論点を学習しておくことをおススメいたします。
第1章 不動産の取得
第2章 不動産の開発
第3章 不動産の保有
第4章 不動産の運用・賃貸借
第5章 保有不動産の評価
第6章 不動産の販売・売却
第7章 不動産取引の仲介
第8章 不動産の証券化
第9章 不動産の除却・滅失
第10章 国際財務報告基準(IFRS)における不動産の会計処理
こんな人におススメ
・不動産投資ファンド、AM会社の担当者
・不動産関連ビジネスに従事する士業
書籍データ
出版社 中央経済社
EY新日本有限責任監査法人 (編集), EY税理士法人 (編集), EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(株) (編集)