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おススメ書籍 【駅・まち・マーケティング: 駅ビルの事業システム革新】

書籍タイトル 駅・まち・マーケティング: 駅ビルの事業システム革新

書評

鉄道会社も人口減少社会を見越して、駅周辺の賑わい創出に腐心するようになりました。

元々、駅ビルは最高の立地であったにも関わらず、魅力がないため「通過点の一つ」として消費者から認知もされないものでありました。

目の前にあるのだが、その存在すら気が付かないというハコモノが殆どというのが駅ビルのこれまでの一般的認知でないでしょうか。

しかしながら、ここ数年、駅という非常に恵まれたポテンシャルを秘めた立地を活用し、駅自体の活性化を図る取り組みが至るところで見られるようになりました。

例えば、アトレ、ルミネ、エキュートなど、通過するのでなく、それ自体に行きたくなる駅ビル、駅ナカ施設が増えたように感じませんか?

本書では、JRの駅ビル事例として、立地創造型の類型として「JRタワー(札幌)、JR博多シティ」の事例を、立地深耕型の類型として「アトレ」の事例として、それぞれのコンセプト設定、MD戦略などの具体例を交えて、やや専門的に解説していくという内容になっています。

レベル感としては、過度に専門的でもなく、不動産業界やマーケティングの基礎知識があれば十分に読みごたえがあるコンテンツが満載です。

本書の優れたところは、一般形のSC、百貨店、その他小売り業の全体像や歴史からアプローチしていき、駅ビルという特性に迫っていく構成となっているため、商業施設の開発や運営全般の学習ができるという構成になっているところです。

本書を読めば、駅ビルに限らずSCデベロッパーが、施設全体のハード・ソフトを総合した「プロデューサー」であることが理解できると思います。

優れたデベロッパーは、テナントに対してストーリーを語り、部分最適でなく全体最適を創出する正にプロデュース能力が必要とされます。

この点、本書の後段にある「デベロッパーに求められる人材とは?」「駅ビル人材とは ライフスタイルへの興味関心」という項は、鉄道会社の商業部門の担当者だけでなく、デベロッパーの若手の方にも一読いただきたい内容です。

デベロッパーは、常にアトレのプロデュース型運営についてイメージができている必要があるという。何も考えずに外注企業へ丸投げしてはいけない。自分の言葉でテナントを主役とする壮大な物語を作らなくてはならない。われわれデベロッパーは、プロデューサーの位置づけであり、大道具、小道具、照明など舞台で必要なものをすべて、具体的にその専門分野のプロ集団に確実に伝えていなかくてはならない。

商業施設開発、運営から駅ビルの最新潮流などが学べる贅沢な本です。

本書の構成
第1部 駅ビルとは何か?―その発展の系譜と内実(「駅ビル」形態の発展史
商業における「駅」という存在―交通の要衝と商業価値
ショッピングセンター概論)
第2部 駅ビル形態の革新―「立地創造型」と「立地深耕型」(「立地創造型」駅ビルの展開―JRタワーとJR博多シティ
「立地深耕型」駅ビルの展開―アトレ誕生と駅ビル形態の確立)
第3部 駅ビル形態の進化とこれから(駅ビル形態、進化のゆくえ)

こんな人におススメ

・商業デベロッパーの若手担当者
・鉄道、不動産業界、デベロッパー志望の就活生

書籍データ

書籍タイトル 駅・まち・マーケティング: 駅ビルの事業システム革新
出版社 同友館
池澤 威郎 (著)

駅・まち・マーケティング: 駅ビルの事業システム革新

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