Amortization
アモチゼーション。略称アモチ。定期的な元本返済のこと。元本返済方式は、元金均等返済方式と元利均等返済方式があるが、住宅ローンなどの個人向けには、元利均等返済方式が多いが、事業用貸付の場合は元金均等返済方式が多い。単に、アモチと呼ばれている。
Asset Finance
アセット・ファイナンス。伝統的な企業融資(コーポレートローン)に対比する概念。コーポレートローンでは、企業が借主(ボロワー)となり、抵当権などの担保を設定することもあるが、返済不能の際の担保権実行後において、残債が残った場合においては、当該残債を返済する義務があるローンとなる。これをリコースローン(遡及型ローン)という。一方、アセット・ファイナンスにおいては、返済原資は、担保となる対象資産のCFに限定され、債務不履行の際における担保権実行の際に残債が残ったとしても、原則的に借主(ボロワーとなるSPC)には、返済義務を負わないローンとなるのが一般的である。これをノンリコースローン(非遡及型ローン)という。広義のアセットファイナンスでは、対象資産が債権、動産、不動産、知的財産権等幅広く認識され、それぞれに民法上の債務者対抗要件や第三者対抗要件を具備する手当がなされる。
Balloon
バルーン返済。ローン期間中の元金返済は行われず、ローン期間の最終期にて一括返済を行う返済方式。ローン期間中は、元本に対応した金利のみが返済されることになる、テールヘビー(Tail Heavy)とも呼ばれる。
Borrower
ボロワー。債務者、借主のこと。不動産証券化ファイナンスの場合においては、ボロワーはSPCとなる。
Break Funding Cost
ブレークファンディングコスト。返済期間中に債務者側の申し出により期限前弁済を行う場合において債務者から債権者に支払う手数料。ブレークファンディングコストには①逸失利益の補償の意味と、②固定SWAPの紀元前弁済解約コストの補償の2つの概念がある。
なお、住宅ローンの固定金利型の固定期間中の繰り上げ返済の際に、銀行から求められる「繰り上げ返済手数料」もこのブレークファンディングコストに該当する。ただし、昨今は、住宅ローンでのブレークファンディングコストを徴求されるケースがむしろ稀になっている。
CMBS Commercial Mortgage Backed Securities
商業用不動産担保証券。ノンリコースローンを束ねて、SPCに債権譲渡を行い、当該SPCが証券を発行して投資家に販売する。証券化された商品は、優先劣後構造を採用し、各優先度(トランシェ)に応じたクーポンが支払われることになる。なお、住宅ローンを束ねた証券化商品はRMBSと呼ばれる。
Covenants
コベナンツ。融資の順守事項。融資条件に違約した場合、融資条件に設定した経済条件を下回った場合においては、期限の利益を喪失し、元金の一括又は一部返済又はエクイティの追加投資などが融資条件にて設定されることが多い。この融資条件のことをコベナンツという。
Default
デフォルト。ローンの元利金返済が支払い不能となること。不動産証券化においては、デフォルトには大きく次の2つ意味を持つ。一つは、不動産所有SPCのデフォルトであり、ノンリコースローンの元利金に支払いに支障をきたすものである。もう一つは、売主(オリジネーター)の破産手続きがSPCに及ぶという論点がある。不動産証券化では、売主の破綻からの倒産隔離スキームを構築したり、売買の真正性の担保が重要と言われる所以である。
DSCR Debt Service Coverage Ratio
年間の不動産NCF(又はNOI)に対する元利金の返済比率。この値が高ければ元利金の返済能力が高いことを示す。例えばDSCRが1を割り込んだ場合は、不動産NCFから元利金の返済が困難になることから、順守すべきDSCRを1.2等に設定して、これを下回る場合においては、エクイティの追加出資に応じさせるなどのコベナンツ条項が入るケースが多い。単に、DCRと呼ぶこともある。
Escrow
エスクロー。売買に当たって、売買決済時までに発生する売買代金の一部や積立金や敷金などの費用を一時的に第三者が保管する制度。日本では会計士や弁護士がこの役割を果たすケースがあるほか、信託銀行がエスクローサービスを提供しているケースがある。
Lender
レンダー。債権者、貸主のこと。不動産証券化ファイナンスの場合においては、通常、銀行等の金融機関がレンダーとなる。
Loan Constant
ローンコンスタント。K%とも言われる。数式としては、「年間の元利金の返済額÷借入残高」をパーセント表示したものとなる。このローンコンスタント(K%)が高ければ支払い期間中における支払い余力が低く、逆に低ければ支払い能力が高いことになる。ローンコンスタントは、「LTVが低い、金利が低い、借入期間が長い」場合においては低くなる。
証券化ファイナンスにおいては、ローンコンスタント(K%)を例えば6%と設定して、その際のDSCR値との比較で元利金償還の安全性を図る指標として使われることが多い。
LTV Loan to Value
担保掛目のこと。不動産価格に対する当初ローン元金の比率。REITのLTVは40~50%、私募ファンドでオポファンドのLTVは80~90%など、エクイティ投資家や商品設計によってLTVは異なることになる。一般的に、LTV比率が高ければ金利設定も高くなる傾向がある。不動産ファイナンスにおいては、元本返済の状況、不動産価格の変動によりLTVが上下することになり、DSCRのチェックに加えて期末でLTVのチェックを行うケースも多く見受けられる。
Mandate
マンデート。元々は委任された権限という意味であり、金融機関が企業から証券発行や融資を正式に受託することを指す。これが転じて、証券化アレンジャー(AM会社)が投資家から運用業務を正式に受託することにも使われている。
Mezzanine Loan
メザニンローン。メザニンファイナンスとも呼ばれ、シニアローンとエクイティの中間的なリスクを持つローン。名称はローンとなっているが、ローンとエクイティのハイブリッドな性格を持つ。シニアローンに劣後して返済を受けることから劣後ローン、劣後債とも呼ばれる。
NON-Recourse Loan
ノンリコースローン。日本語訳としては「非遡及型融資」。伝統的な企業融資(コーポレートローン)に対比される概念。ローンがデフォルトした際に債権者(レンダー)は、担保対象となる資産(不動産)からのみ資金回収ができる特約が付いたローン。不動産証券化にスキームにおけるアセット・ファイナンスで提供されるローンの殆どはこのノンリコースローンとなる。なお、ローン契約の名称は、「責任財産限定特約付き金銭消費貸借契約」となる。ちなみにREITのローンは投資法人に対するコーポレートローンとなる。
Project Finance
プロジェクト・ファイナンス(PF)。PFの場合、対象プロジェクトから得られるキャッシュフロー(CF)に返済原資が限定されるため、伝統的な企業融資(コーポレートローン)とは区別して整理する必要がある。不動産分野では、開発型証券化スキームもPFの一種であり、昨今は、公的資産の民間受託事業であるPFI事業などでPFが採用されるケースが多い。PFは固定化された不動産とは違い、実際のビジネスによるCFが支払いの源泉となるため、不動産ファイナンスにおけるアセットファイナンスより関係当事者が多くなり、複雑な構造(ストラクチャー)を有する傾向がある。
Proratable
返済割り当て方式。略称プロラタ。協調融資、シンジケートローンのような複数の金融機関から融資をうける際においては、どの金融機関(レンダー)が優先的に元利金の返済を受けるのかが問題となる。ローンに優先劣後構造がある場合は第一レンダーの元利金への充当の後、第二レンダーが元利金の支払いを受けるが、プロラタ方式の場合は、元利金の返済は各債権者の元本残高に応じてなされることが特徴的。反対概念は、シークエンシャル返済方式(Sequential)。
Refinance
リファイナンス。ローン期間の終了時において、更に期間を延長してローン条件を更改すること。リファイナンスに当たっては、リファイナンス時点の金融経済の動向や担保価値の状況を見て、ローン条件が再設定される。追加取得型ファンドの場合、ファンドの終了期間を決めない又は超長期に及ぶものもあり、通常、リファイナンスが繰り返されることになる。略してリファイと呼ばれる。また、リスケジュールすることからリスケとも呼ばれることもある。
Senior Loan
シニアローン。優先的弁済権を持ったローン。アセット・ファイナンスにおいては、メザニン、エクイティに対して、優先的に元利金の返済を受けることになる。ノンリコースローンはシニアローンとなるケースが殆ど。
Sequential
シークエンシャル返済方式。ローンレンダーが複数存在した場合、第一優先ローンの元利金の支払いの後に、第二優先ローンが支払われる返済方式。プロラタ返済方式と対比する返済概念。資産証券化の際のシニアローンの部分を更に証券化した際に、各優先順位(トランシェ)の順位に従って期中の元利金返済も優先劣後構造を持つ返済方式。
Structured Finance
ストラクチャード・ファイナンス。証券化対象不動産のファンド組成に当たっては、投資スキームにより、ローン、メザニン、エクイティと複雑な構造を有する仕掛けで資金調達することが一般的であり、これを総合したストラクチャード・ファイナンスと呼んでいる。ストファイと略する人もいる。ストラクチャードファインアンスの類義後としてアセット・ファイナンスと言う言葉があるが、アセット・ファイナンスはノンリコースローンに代表されるように資産のみを担保として融資形式であり、ストラクチャード・ファイナンスとは厳密には用法が異なる。
Tail
テール期間。ローン契約においては最終の元利金返済期限が設定されることになるが、不動産の場合、最終期日後に不動産の売却活動やリファイナンスが行われることがしばしば起こり得る。この場合に一定の期間、期限の利益を延長させる期間のことを「テール期間」という。テール期間が設定されることになり、債務者はデフォルトを回避できるという期限の利益の延長効果を享受することになる。
Trigger
トリガー。アセットファイナンスのローン契約書においては、一定の事由が発生した場合において、期限の利益を喪失させたり、追加担保の拠出を求めること条項が盛り込まれることが多い。この契約条項を「トリガー」と呼ぶ。具体的には、DSCRトリガーやLTVトリガー、稼働率に応じたトリガーなどがある。このトリガー条項を債務者に約束させること条項をコベナンツ条項という。