あ行
相対 あいたいとりひき
不動産仲介業者を通じずに、売主買主が直接不動産の取引を行うこと。
不動産仲介手数料は、売主・買主合計で最大6%かかることを考えると最も効率のいい取引となる。ファンドやREITの売買では、相対取引が比較的多い。
あんこ業者 あんこぎょうしゃ
不動産売買の場合、売り側仲介、買い側仲介がそれぞれ客付するのが一般的 そこに果敢に入り込む業者を「あんこ業者」という。 どら焼きのあんこのような存在であり、「エンド限定」情報を業者間で共有する。よく重説の時に「この人誰?」というケースがよくある。
居抜き いぬき
貸店舗でよくある取引形態。旧賃借人から新賃借人へ借家権を譲渡し、内装をそのまま新賃借人に移転すること。賃貸人の同意があれば、このような借家権の譲渡取引も可能であり、飲食店などの貸店舗ではよく見られる取引形態。
売渡 うりわたし
売渡承諾書の略。売買契約の前段階として、買主から買付申込書を売主に提示して、その結果、売主が売渡承諾書を買主に提示するというのが売買の慣行になっている。なお、売渡承諾書が出ても裁判では法的拘束力を認めない傾向があるので注意を要する。
上物 うわもの
土地上に建物がある場合における「建物」のこと。老朽化した古家などが存在するが実質的に土地取引の場合、「上物あり」と言う表現がなされる場合が多い。「上物の価格」というプロもいるが、単に「建物の価格」ということなので大した意味はない。
A工事、B工事 えーこうじ、びーこうじ
ビル・テナント賃貸借に入居の際に行われる工事区分のこと。A工事は、オーナー側工事、B工事は、テナント側工事でいずれもオーナーの指定業者による施工を前提とするもの。更にC工事という概念があり、これはテナント側工事であるがテナント側の選定工事業者による工事。工事区分は、オーナーとテナントとの資産区分と表裏一体であり、テナント退去時の原状回復時においては、B工事、C工事部分を原状に復して返還するのが一般的。なお、甲工事、乙工事、丙工事という呼び方もあるが意味合いは同じ。
AD えーでぃー
Advertisementの頭文字を取ったもの。賃貸仲介の場合、宅建業法により、貸し借り双方から合計1か月が媒介報酬の限度となっている。これを上回る報酬をオーナーサイドが支払って客付けを仲介会社に依頼するのが慣行となっている。ADの水準は通常1か月程度であるが、空室を早期に埋める必要があるオーナーは数カ月のADを仲介会社に支払うケースもあり。
エンド えんど
最終購入者であるエンドユーザーを略して単にエンドという。反対語は当然プロとなる。
宅建業法では、宅建業者間(つまりプロ間)の取引以外には各種制限が設けられている。また、エンドの中でも個人は消費者保護法等で消費者保護が図られていることに注意が必要。
か行
買付 かいつけ
買付証明書の略。不動産取引に当たっては、買い側の購入意思を明確にするために買付証明書を発行することが慣行となっている。買付証明書に法的意義はないため、買付を連発する業者もかなり存在する。
額縁分筆 がくぶちぶんぴつ
土地分筆の際、隣接地境界付近のみを残地させ分筆すること。隣接地の境界の立会が不能な場合、素早く売却したい売主が強引に隣接地との境界付近を額縁を残すように分筆して、境界の立会をする必要がない状態で売却する小手先のテクニック。後のトラブルの元となるので、危険な分筆手法。同様に、土地をくりぬくような形式の「日の丸分筆」や、隣接地境界付近を細くカミソリのように分筆させる「剃刀分筆」などもあり、同様の趣旨で過去に行われたケースがあるので要注意。
片手・両手 かたて・りょうて
売買仲介の場合において、売主仲介業者と買主仲介業者が共同して不動産売買の成約を目指し、売り買いそれぞれの当事者から仲介手数料(つまり上限3%+6万円)を収受するパターンを「片手」と言う。一方、売主側仲介も買主側仲介も同じ会社であるパターンは売主買主双方から仲介手数料(上限6%+12万円)を収受することも宅建業法上は認められている。不動産仲介会社は、ビジネスとして当然に、この両手商売を目指すことになります。専任媒介の場合においては、指定流通機構(レインズ)に登録義務があるので、あえて一般媒介で両手取引を目指すという業者も少なくない。
剃刀分筆 かみそりぶんぴつ
土地分筆の際、カミソリのように細い土地だけを残して分筆すること。隣接地の境界の立会が不能な場合、素早く売却したい売主が強引に隣接地との境界付近をカミソリのような細い土地を残して分筆して、境界の立会をする必要がない状態で売却する小手先のテクニック。後のトラブルの元となるので、危険な分筆手法。同様に、土地をくりぬくような形式の「日の丸分筆」や、隣接地境界付近のみを残地させる「額縁分筆」などもあり、同様の趣旨で過去に行われたケースがあるので要注意。
逆流 ぎゃくりゅう
仲介業者が「物件調査書」を作成して、これを売主に無断で水面下にて買主候補に打診するということがかなり見受けられる。この情報が仲介業者間にて出回ってしまい、売主に「こんなものを〇〇会社から紹介受けたのですが。。。」と無邪気に問い合わせてしまい、事故となってしまうケース。これを逆流という。売主担当者は情報をコントロールしながら、情報を拡散させるという二律背反のミッションを背負いながら営業活動を行っている。
金消 きんしょう
金銭消費貸借契約書の略。ローン契約書。不動産担保ローンでも、消費者金融のローンでも貸金契約の全ては金消契約となる。なお、不動産投資ファンドで多用されるノンりコースローンの正式名称は「責任財産限定特約付き金銭消費貸借契約」という。
金商法 きんしょうほう
金融商品取引法の略。2006年に従前の証券取引法が改正され、金融商品全般を取り締まる法として運用されている。不動産分野では、ファンド、AM業界において特に重要な意味を持つ。不動産投資ファンドの一任運用の際には、受託者側に金商法の投資運用窯業の登録が必要である。また、金商法上のみなし有価証券とされる信託受益権の売買の仲介に当たって仲介業者には、金商法の第二種金融商品取引業の登録が必要である。
客付 きゃくづけ
元付(もとづけ)の反対語。売主側・貸主側業者を元付業者と言うに対して、買主側・借主側業者を客付業者という。人気物件の場合、元付業者の差配権が強く、立場的に元付業者>客付業者との力関係となる。一方不人気物件の場合は、立場が逆転となる。と言う意味で、理論上であるが一番楽なのは、「人気物件の売側業者」「目をつぶって不人気物件を買ってくれる買主を沢山抱えている買主業者」ということになる。
下駄履き げたばき
分譲・賃貸マンションなどで1階、2階等の低層階部分が店舗になっている形態を下駄履きという。当該店舗のことを「下駄履き店舗」という。分譲マンションの場合、下駄履き店舗も区分所有登記されるのが一般的であり、分譲デべがそのまま保有したり、売却して資金回収したりと立地や戦略によってまちまちである。
建確 けんかく
建築確認の略。一定程度の建物を建築する際に、建築主には建築基準法で定められている建築確認申請が義務付けられている。
なお、建築確認申請後は、建築確認済証が発行されるが、検査済証でないことに注意が必要。
建築確認済証は、単なる建築確認制度の通過点を証明するだけの機能であり、完了検査終了後に発行される検査済証のほうが重要度は高い。
検済 けんずみ
検査済証の略。建築確認申請のステップとしては、建築確認⇒中間検査⇒完了検査の3ステップを通過する必要があり、完了検査終了後に発行されるのが「検査済証」。この検査済証の有無が、建物の新築当時において建物が建築法規に基づいて建築されたか否かを証明することになることから重要な意義を有することになる。高い遵法性が求められるファンド売買などでは、検査済証が無い場合は、そもそも建物の順法性に疑義があると判断される可能性があるため注意が必要。検査済証は再発行されないことにも留意が必要。
検査済証が無いケースとしては、検査済証をそもそも取得してないケースと検査済証を紛失したケースの2通りが考えられるが、後者の場合は、特定行政庁にて建築確認台帳記載証明を発行してもらい遵法性証明のリカバリーすることが実務では多い。
現調(実調) げんちょう(じっちょう)
現地調査の略。実地調査(実調)ともいう。
不動産業界ではこの現地調査が重んじられ、仲介、買主、ローンレンダー、証券化アレンジャーなどの不動産関連プレイヤーは必ず現地調査を行うのが慣行となっている。現地調査のレベルは、各専門家によって異なるが、単なる目視による外観調査、建物内部の調査、建物専有部の調査、建物設備の調査などの建物系の調査の他に、道路との接道状況、隣地との境界など幅広い。
現物 げんぶつ
ここでいう現物とは、不動産そのもの(現物不動産)を言い、信託受益権と区別するため用いられる。
不動産証券化の進展に伴い、現物の不動産を信託受益権化して不動産取得税や登録免許税の圧縮を目指すファンドスキームが増加したことから、この信託受益権でない取引のことを「現物売買」と対比的に用いる機会が増加した。一方、小規模の投資案件であれば、SPCのセットアップコストが過大になることから、殆どの不動産取引は「現物取引」となっている。
構造計算 こうぞうけいさん
2005年に発生した構造計算書の偽造事件「姉歯事件」後、建物の構造計算の基準が厳格化され、ファンド等のプロ間売買では建物構造の妥当性を建物の順法性の一部と考え、厳格にチェックする傾向となっている。
建築基準法では、一定程度の建物建設の際には、構造計算が必要とされているが、この構造計算書を紛失しているオーナーも比較的多い。紛失の場合は再計算の必要性があり、調査コスト、調査期間がかかり、売買そのものに影響するケースもある。
さ行
指値 さしね
売り出し価格に対して、買主側が任意の価格で買い希望額を伝達する行為を指値という。
不動産は原則として定価というものが存在しないため、一定程度の常識的な指値をするのは全然ありだが、無茶苦茶な指値を連発する業者は当然、業界から嫌われる傾向がある。売主希望額の半値程度で指値をする「鬼の指値」と言う表現もあり。
三為 さんため
民法で定められてる「第三者のためにする契約」の略。
従前、所有権をA⇒B⇒Cと瞬間的に移転する際、間のBへの移転を省略してA⇒Cへ不動産の所有権移転登記を直接行うものとして「中間省略登記」が認められてきた。間のBは不動産仲介業者のうち転売業者となるケースが殆ど。この「中間省略登記」は、2004年の不動産登記法の改正により、権利変動を正確に記録する必要があるとされ、利用不能に。これに取って変わるスキームとして民法に定める「第三者の為にする契約」が実務上、新中間省略登記として活用されている。この三為契約を専業とする業者を「三為(さんため)業者」と言う。
仕掛け しかけ
仲介業者が、売主が保有する物件を売主の了解無しに持ち歩くことを「売り仕掛け」という。
仲介業者が作成する「物件調査概要書」等の資料を持って、当該仲介業者が、買主候補者に打診するなど、売主側に正式な媒介依頼の意思がないケースが殆どである。
CA しーえー
Confidencial Agreement 秘密保持契約のこと。媒介業務を行うに当たって、詳細資料を依頼者から提出してもらうに当たって秘密保持契約書の提出を求められることがある。略してCA。プロ相手の媒介だと「取りあえずCA出してもらっていいですか?」と言われることが多い。CAの雛形を相手先のものを使うか、自社のものを使うかによって、つまらない駆け引きが繰り広げられることもある。Non Disclosure Agreement(NDA)という人もおり、ややこしい。
敷延 しきえん
敷地延長の略。建築基準法上、建物の建設のための敷地は道路に2m以上接している必要があり、奥まった敷地であっても通路のような細長い敷地が必要とされる。このような土地全体のことを「路地上敷地」と呼んでいる。なお、各自治体の条例により当該敷地延長に求められる幅や長さ上書き制限があることにも留意が必要である。
敷引き しきびき
賃貸借に当たって、賃借人から賃貸人に差し入れられる敷金のうち、賃貸人側が自動的に差し引くことができる契約を「敷引き契約」という。関西地方では、礼金より敷引き契約が多く見受けられる。一括償却、順次償却、最終償却など様々な償却方法がある。
敷礼 しきれい
敷金、礼金の略。敷金は、賃貸借に当たって賃料不払い、原状回復費用等の賃借人の債務の担保となるものであり賃貸借の終了後において賃貸人から債務を控除して賃借人に返還されるものである。一方、礼金は賃貸借当初に支払われる一時金で賃貸人から返還義務のないものである。
地位 じぐらい
「じぐらい」と言い、その土地の歴史(地歴)が品格の高い土地のことを言う。東京では、一般的に、皇居(昔の城)を中心として、城南、城西エリアが地位が高いと言え、城東、城北エリアは地位が低いとされるが、スポット的に地位が高いエリア、低いエリアも存在する。
重説 じゅうせつ
宅地建物取引業法にて定められている重要事項説明書の略。宅地建物取引業者は、宅地建物取引士をもって、顧客と対面して説明を行わなければならないとされている。
最近は非対面のIT重説が賃貸借の領域に導入されているが、実務の現場では対面式のものが圧倒的に多いのが現状である。
スケルトン すけるとん
賃貸借契約にて、オーナーが建物の躯体のみを提供し、建物内装や建物設備等の工事の殆どをテナント側が行う契約のことを言う。店舗賃貸の場合に多く見受けられる。
最近では、賃貸住宅でも「スケルトン住宅」という形態も登場しており、賃借人側が内装を自由に工事できるメリットがある一方で、原状回復にてトラブルになるケースも多い。
専任返し せんにんがえし
戸建販売業者などが買主として、仲介業者から用地の斡旋を受けた後、当該戸建業者がエンドユーザーに販売する際に、当該仲介会社と専任媒介を委託することを言う。戸建販売業者と仲介業者の信頼関係にもよるが、仲介業者にとっては、二度の仲介手数料の収受チャンスがあることから、専任返しをしてもらえる業者に優先的に用地を紹介するインセンティブが発生するようになる。
即完 そっかん
即日完売の略。大型の新築マンションの販売においては、販売期を数期に分けて販売していく戦略を採用するデベロッパーが殆どである。このように期を分けて小出しに販売していくことにより、各期が「即日完売」となるように誘導し、後の期の購入者の購入意欲を刺激するという戦略を採用するのが一般的。即日完売とは、販売開始の当日には、販売が完了していることになり、デベロッパーの販売担当者の腕の見せ所の指標となる。
た行
仲手 ちゅうて
仲介手数料の略。仲介手数料は、宅建業法で上限規制がある。売買の場合、売主・買主の一方から3%+6万円を上限とし、賃貸の場合は、貸主・買主の双方からの合計として賃料の1か月分が上限となる。
賃契 ちんけい
賃貸借契約書の略。一方、売買契約書は、売契(ばいけい)と略される。この賃貸借にも普通借家契約と定期借家契約があることに留意が必要である。
賃発 ちんぱつ
賃料発生の略。賃貸借契約の特約にてフリーレントを採用する場合、賃貸借契約上の賃貸借開始日と賃料の発生時期がずれることになる。例えば、店舗賃貸の場合は、テナントの内装工事期間中は賃料支払いを全額免除や半額免除したりするケースも多く見られる。
賃マン ちんまん
賃貸マンションの略。分譲マンション(分マン)の対比用語として、賃貸マンションが位置づけられる。同じ住居であるも不動産デベロッパーから見れば賃マンと分マンは資金回収方法が異なることから、異なる事業部で管理されることが多い。なお、デべの会議では、皆平然と賃マン、分マンという言葉が飛び交っている。
定借 ていしゃく
定期借地契約、定期建物賃貸借契約の略。「定借」にも定期借地と定期借家があるため、どちらを指しているのかに注意が必要。例えば、不動産売買で「定借物件」というと土地が定期借地なのか?建物賃貸借が定期借家に賃貸中の収益物件なのかを確認する必要がある。例えば、ビルオーナーからテナント募集を任された仲介会社と当該オーナーとの会話では「定借」は定期借家契約のことを指すであろうが、ロードサイドの土地の有効活用の際は「定期借地権」の意味での「定借」となろう。
テナントレップ てなんとれっぷ
TENANT Representativeの略。外資系の賃貸仲介会社が大口テナントから受託する包括的なオフィスマネジメント契約のこと。包括的な代理人としてオーナーと新規、継続を問わず賃貸借契約の交渉を行う立場である。元々は欧米の大手企業と不動産仲介業者間で行われていた契約慣行が日本に輸入されたものであり、外資系賃貸仲介の殆どがテナントレップの専門部署を有している。
な行
縄伸び・縄縮み なわのび・なわちぢみ
土地取引は、大きく公簿売買と実測売買の2つに分かれる。登記事項証明書に記載の公簿面積と実際に測量を行った面積が異なるケースが多い。土地の売買に当たって、道路、隣地との境界を確定して取引を行う実測売買の場合、公簿面積と実測面積が食い違うことになる。
公簿面積<実測面積となるのが縄伸び、公募面積>実測面積となるのが縄縮みとなる。
二種免 にしゅめん
金融商品取引法上(金商法)の第二種金融商品取引業の登録のことを業界的に「二種免許」と呼ばれている。正確には、宅建業は免許であることから、「二種免許」とされているが、実際には「登録」である。信託受益権は金商法の「みなし有価証券」であることから、仲介会社が信託受益権の仲介を行う場合には、宅建業の免許以外に、第二種金融商品取引業の登録が必要となる。
抜き行為 ぬきこうい
不動産仲介業者が最も嫌う行為。
事前に売主、買主と媒介契約を締結するケースは実務では稀であり、これを奇禍として売主又は買主が仲介会社を抜いて直接交渉を始めるケースが稀にあり。
これをプロ間で行うと出入り禁止となる。あと、不動産は狭い世界と言われるため、その人のキャリアも台無しになることもあり、プロでは絶対に行ってはならない行為。
は行
売契 ばいけい
売買契約書の略。一方、賃貸借契約書は、賃契(ちんけい)と略される。現物取引、信託受益権の取引、借地権付き建物の取引によって、それぞれ契約書のフォームとそれに付随する契約(借地権譲渡承諾等)があることに留意が必要。
旗竿地 はたざおち
路地上敷地と同じ意味。敷地の形状が「旗竿」のような形をしていることから、このような名称で呼ばれる。
販社 はんしゃ
販売会社の略。分譲マンションデベロッパーは傘下の不動産流通会社にエンドユーザー(最終購入者)との販売を委託してマンション販売するケースが殆どであり、業務の分業化が進んでいる。ブランド力の弱いデベロッパーは、大手の仲介業者に販売業務を委託するケースも多く見受けられる。
反社 はんしゃ
反社会的勢力の略。不動産取引において相手側が暴力団等の反社会勢力であることが判明した場合、暴力団との取引があったと見做され、暴力団排除条例違反とされる以外に風評被害により決定的な経営リスクを背負いことになる。最近の不動産に関する取引における契約書では、反社条項を盛り込むことが一般的となり、相手が反社だと認識された時点において契約書の無催告解除の条項を設けているケースが多い。取引の前段階における反社チェックが、不動産関連取引でも重要な業務となる。
犯収法 はんしゅうほう
「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の略。犯収法において、宅地建物取引業者は「特定事業者」として位置付けられ、不動産取引を行う際の顧客等の本人確認及び本人確認記録の作成・保存、取引記録の作成・保存 並びに疑わしい取引に関する行政庁への届出が義務付けられている。特に最近は反社会勢力の根絶、マネーロンダリングの根絶が時代の潮流になっており、不動産関連プレイヤーも犯収法の基礎的な理解は必須となっている。
日の丸分筆 ひのまるぶんぴつ
土地分筆の際、隣接地に接しないないように土地の内側だけを残地させ分筆すること。隣接地の境界の立会が不能な場合、素早く売却したい売主が強引に隣接地との境界が接しないように日の丸のように土地を残すように分筆して、境界の立会をする必要がない状態で売却する小手先のテクニック。後のトラブルの元となるので、危険な分筆手法。同様に、土地を額縁にようにくりぬくような形式の「額縁分筆」や、隣接地境界付近を細くカミソリのように分筆させる「剃刀分筆」などもあり、同様の趣旨で過去に行われたケースがあるので要注意。
品確法 ひんかくほう
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の略。品確法によれば、新築住宅(戸建、建売、マンション)の販売者は買主に引き渡しから10年間は建物の構造上の主要な部分における瑕疵があった場合において、無償補修を行う義務があるとされている。
なお、2020年4月1日施行の民法改正では、「瑕疵担保責任」の考え方が廃止され「契約不適合責任」に変更されているが、品確法の条文上は「瑕疵」と言う名称が残ることになっている。意味合いとしては、「契約不適合」と読み替えるのが自然である。
不特法 ふとくほう
不動産特定共同事業法の略。現物不動産を投資対象として、投資家から資金を集めて運用するには不特法の許可を必要とするのが原則である。不特法の許可には営業者側に資本金要請として1億円以上が必要とされるなど厳格な要件があるため、当該スキームによるファンド事業は一部の大手不動産会社にしか実績がないのが現状である。証券化不動産のSPCにも原則として、不特法の規制が及ぶためこれを回避するため現物不動産でなく信託受益権によるファンド組成を行うなどの手当を必要とする。不特法の規制とどのように付き合うかも証券化不動産を取り扱う際の重要論点となる。近年の改正により現物不動産のファンドも一部特例が認められているが実例が少ないのが現状である。
フリーレント ふりーれんと
賃貸借契約開始から相当の期間賃料の支払いを免除する特約をフリーレントという。
店舗の内装工事期間中においては、テナント側に売上がないことから、工事期間中にフリーレントを付けるケースが多い。
また、賃貸マーケットが苦境の際においては、オーナーが数カ月のフリーレントを付けて、テナント募集するケースも多い。オーナーが、賃料減額でなくフリーレントを好むのは、収益還元価格を落とさないというインセンティブが働くケースも多い。
分マン ぶんまん
分譲マンションの略。賃貸マンション(賃マン)の対比用語として、分譲マンションが位置づけられる。同じ住居であるも不動産デベロッパーから見れば賃マンと分マンは資金回収方法が異なることから、異なる事業部で管理されることが多い。なお、デべの会議では、皆平然と賃マン、分マンという言葉が飛び交っている。
ま行
マイソク まいそく
仲介業界が顧客に提供する物件案内図のこと。ひと昔前は相手側業者から「マイソク送っておいて」と言われると、秒速でFAXを送るのが流儀であった。語源は「毎日速報センター」」が始めた業者向けの物件案内図に由来する。醤油をキッコーマンというようなもの。
元付 もとづけ
客付(きゃくづけ)の反対語。買主側・借主側業者を客付業者というのに対して、売主側・貸主側業者を元付業者と言う。人気物件の場合、元付業者の差配権が強く、立場的に元付業者>客付業者との力関係となる。一方不人気物件の場合は、立場が逆転となる。と言う意味で、理論上であるが一番楽なのは、「人気物件の売側業者」「目をつぶって不人気物件を買ってくれる買主を沢山抱えている買主業者」ということになる。
や行
役調 やくちょう
役所調査の略。不動産媒介により宅建業者は重要事項説明を交付して説明する義務があり、用途地域などの公法上の制限や、道路との接道状況などを詳細に調査する必要がある。不動産業従事者の基礎中の基礎であり、役所調査が漏れなくできるのが当然のスキルとして要求される。
なお、鑑定業者が発行する不動産鑑定評価書においても、不動産に関する公法上の制限が価格形成要因になることから、同じく役所調査が必要となる。
ら行
両手・片手 りょうて・かたて
片手・両手の説明ご参照
わ行
分かれ わかれ
不動産売買の場合、宅建業法上の媒介手数料は、売り買いの一方から3%+6万円が上限として規制されている。例えば手数料が「分かれ」と記載があると、売主側仲介会社は売主から、買主側仲介会社は買主から媒介手数料を収受することになります。ここで例えば、買主がケチな人で、手数料を1%しか支払わないということで買主側の仲介業者がそれに応諾したとしても、売主側は知ったことではないという趣旨が「分かれ」の意味です。更に複雑に、買主側の仲介会社が2社となったケースでも買主側で勝手に分けてくれというのも「分かれ」の趣旨となる。