不動産書籍紹介

おススメ書籍 【不動産テック 巨大産業の破壊者たち 】

書籍タイトル 不動産テック 巨大産業の破壊者たち

書評

FAXやハンコとか言っている場合でない!

まず、日本の不動産業は一旦解体的出直しが必要でないだろうか?

日本の不動産業界は、国内総生産(GDP)の12%を占める業界であり、製造業、流通業に次いで第三位となる存在感の大きい業態となっています。

本書の出版前の2017年には、「ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?」が出版され話題になりました。

その後、業界から総スカンを喰らってソニーとYahooは苦戦していますが、この当たりからが日本における不動産テック黎明期という感じでないでしょうか。

そして、本書の発行されたのが2019年

恐らく取材時点が2018年中のものであるので、日進月歩の不動産テック業界の情報としてはやや古いかもしれません。

しかも、コロナショック前に書かれた本なので、更に環境が激変してしまったという感があります。

しかし、コロナショックは、不動産テック産業にとっては追い風になり、むしろ不動産テックの浸透が加速するものと私は考えます。

本書のくだりを引用してみましょう。

名だたる大手企業をスタートアップ投資に駆り立てる動機は何か。その一つが、業界の外からやって来る、未知の脅威に対する潜在的な危機感だ。
「現状に安住するわけにはいかない。テクノロジーの導入で自らを改革していなければ、かつて隆盛を誇ったブロックバスターやコダックのように、いつの間にか時代に取り残されてしまう。」
不動産市場の大きさと利益率の高さ、その規模と反するように旧態依然としたワークスタイルは、日本でも海外でもそれほど変わらない。

三井不動産や三菱地所などの超大手は遅まきながら既に動き出しています。

恐らく、今後この2社が走り続けて、他の会社は追随できないところまで走り切るのでないか?
それでもこの2社は周回遅れとなっている危機感をもって焦っているぐらいではないでしょうか?

テック企業の動きは秒単位で変化していくはずなので、本書の出版である2019年1月の情報は既に古くなっているはずです。

ただ、1年前の不動産テックの状況を米国と日本の事例を比較しながらスナップしたものであり、情報としては有用です。

日本の不動産業界は中小零細企業が殆どであります。

アメリカの外圧により大規模小売店舗法が廃止され、大型ショッピングセンターが日本中にできて顧客を奪われた小規模零細小売店と現在の不動産テックの状況がどうしてもダブってしまいます。

不動産業界のシャッター通り化の到来は間違いないです。

IT重説というような眠たい議論をしている間に、米系のテック企業が日本の古い不動産業界を「美味しいラストリゾート」と考えて行動に移していくでしょう。

日本では、足元でのコロナショックによりWeWorkやOYOの失敗を笑う声が多いですが、近い将来、彼らよりもっと凄い巨大不動産テック企業が日本市場に参入し、日本の不動産業界を食い散らかす日がくるのではないか。

そんな近未来を確認してしまいました。

不動産業の未来を考えるには、強くご一読をおススメいたします!

本書の構成
プロローグ 迫るディスラプターたち
第一章 ユニコーンを追って
第二章 大手が先を争うテック展開
第三章 弱肉強食の住宅ポータル
第四章 デジタル仲介の勃興
第五章 生き残りを模索する民泊ビジネス
第六章 ウィーワーク狂騒曲
第七章 クラウドファンディング百花繚乱
第八章 データ・ウォーズの行方
第九章 見果てぬIoT住宅の夢
第十章 ブロックチェーンが変える取引の未来
第十一章 テック雇用が生み出す新・企業城下町
第十二章 自動運転で二兎を追うグーグル
鼎談 本物の不動産テックを日本に

こんな人におススメ

・不動産、デベロッパー業界の担当者
・不動産業界へ就職を考える学生

書籍データ

書籍タイトル 不動産テック 巨大産業の破壊者たち
出版社 日経BP社
北崎 朋希 (著), 本間 純 (著), 谷山 智彦 (監修), 日経不動産マーケット情報 (編集)

不動産テック 巨大産業の破壊者たち

参考書籍

ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?[増補改訂版]

-不動産書籍紹介
-

Copyright© 不動産業ドットコム , 2024 All Rights Reserved.