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おススメ書籍 【東京一極集中が日本を救う】

書籍タイトル 東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)

書評

タイトルからして挑戦的な本ですが、まず、著者の市川宏雄先生について、どのような方かご紹介してみましょう。

市川先生は、明治大学名誉教授、日本の都市政策研究の第一人者であり、都市政策分野の知の巨人です。
都市政策のシンクタンクや研究機関の理事長を務められておられます。

市川宏雄(いちかわ ひろお)
都市政策専門家
明治大学名誉教授
帝京大学特任教授
一般社団法人 大都市政策研究機構・理事長
特定非営利活動法人 日本危機管理士機構・理事長
東京の本郷に1947年に生まれ育つ。都立小石川高校、早稲田大学理工学部建築学科、同大学院修士課程、博士課程(都市計画)を経て、カナダ政府留学生として、カナダ都市計画の権威であるウォータールー大学大学院博士課程(都市地域計画)を修了(Ph.D.)。一級建築士でもある。
ODAのシンクタンク(財)国際開発センターなどを経て、富士総合研究所(現、みずほ情報総研)主席研究員の後、1997年に明治大学政治経済学部教授(都市政策)。都市工学出身でありながら、政治学科で都市政策の講座を担当するという、日本では数少ない学際分野の実践者。2004年から明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科長、ならびにこの間に明治大学専門職大学院長、明治大学危機管理研究センター所長を歴任。
現在は、日本危機管理防災学会・会長、日本テレワーク学会・会長、大都市政策研究機構・理事長、日本危機管理士機構・理事長、森記念財団都市戦略研究所・業務理事、町田市・未来づくり研究所長、Steering Board Member of Future of Urban Development and Services Committee, World Economic Forum(ダボス会議)in Switzerlandなど、要職多数。
専門とする政策テーマ:
大都市政策(都心、都市圏)、次世代構想、災害と危機管理、世界都市ランキング、テレワーク、PFI

市川宏雄オフィシャルサイトより

本書のタイトルがあまりにも刺激的すぎるので、「なに言ってやがるんだ!地方を切り捨てるのか!」という批判を当然ながら惹起することになります。

わざわざ「東京一極集中が日本を救う!」という挑発的なタイトルにして、タブーに挑戦しようとするファイティングスピリットを感じます。

本書のタイトルを「東京の地盤沈下は日本の地盤沈下に繋がる」というものに置き換えるとどうでしょう。

すんなり受け入れられるのでないでしょうか?

言葉選びは難しいですが、本書では、あえて挑戦的なタイトルにしたのだと思います。

市川先生の主張を本書よりピックアップしてみましょう。

「地方が衰退しているのは東京のせいだ」と東京をわかりやすい悪役にしておけば、多くの人は安心できるのだ。
資源を持たず、少子高齢化で労働力さえ失われつつある日本が今後も国際競争を勝ち抜いていくには、ヒト・モノ・カネをさらに東京に集中させるしかない。
東京一極集中という言葉自体が、日本国内だけに目を向けた、極めて視野の狭いものだといわざるを得ない。

グローバルな視点で見れば、20世紀型の国家間競争の時代は終了し、今や都市間競争の時代となっています

特に、今後は、アジア新興国(既にこの言葉自体が過去のもの)であるシンガポールやソウル、上海、北京などが東京を猛追していくことが予想されます。

日本の経済の中心地である東京が、このようなグローバル都市競争に敗れていくということは日本の衰退と表裏一体であることは間違いなく指摘できると考えます。

高度経済成長の真っただ中にあった日本では、「都市間の均衡ある発展」が都市政策の上でも謳われてきました。

東京一極集中を是正し、地方にも活力をというのは、人口増加、第二次産業中心の経済という前提では確かに正しい政策でした。

このため、バブル前は、全国総合開発計画やリゾート法による全国を満遍なく発展させるこを企図した地域活性化策が目白押しでした。

しかし、1990年代以降のバブル崩壊2000年代以降の超高齢化・超少子化が加速する日本において、日本全体を発展させるというのは正に絵に描いた餅でしかありません

このような当たり前のことを言うのがどうしてもタブーのような空気感が日本には漂っています。

このタブーに挑戦し続けるのが市川宏雄先生です。

本書全体が東京LOVEモードですが、理論的な東京LOVEです笑

本書が発行された2015年には、2020年東京オリンピックの開催決定直後であり、オリンピックの経済効果などを本書でも前向きに分析していました。
しかしながら、足元ではコロナショックにより東京オリンピックの延期が決定し、中止の可能性も高くなっております。

本来、オリンピックを都市経済の起爆剤として都市インフラの整備、観光需要だけでなく、都市のアピールに繋がる外部効果が期待されるところですが、この最大のPRの機会を失うのは本当に痛い状況にあります。

また、最近では、リニア新幹線の工事が東京・名古屋間で2027年の全面開通に間に合わないなどのニュースも飛び込んできています。

このような期待が剥落することがほぼ確実の状況の中で、日本つまり東京に残されている時間はあまりないと考えます。

本書の構成
第1章 東京一極集中という歴史の必然
第2章 東京が沈めば地方が沈む
第3章 国際都市感競争の時代
第4章 リニアが日本地図を書き換える
第5章 二度目のオリンピックは何をもたらすのか
第6章 東京にすべてを集めて大丈夫なのか

こんな人におススメ

・デベロッパーの若手担当者
・不動産業界、デベロッパー志望の就活生
・都市論・都市開発に興味のある方

書籍データ

書籍タイトル 東京一極集中が日本を救う
出版社 ディスカヴァー携書
市川 宏雄 (著)

東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)

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