不動産ファインナンス入門 連載に当たって
不動産と金融(ファイナンス)は表裏一体の関係にあるにも関わらず、不動産業界で取り扱うのは「モノ」中心となり、「カネ」の流れのうち、重要であるはずのローンの部分についての知識を習得する機会がなかなかないというのが現状かと思います。
私は運よくもこれまでのキャリアで、不動産ファイナンスのうち、コーポレートローン、ノンリコースローン、エクイティファイナンスの業務を経験することができました。
一方で、不動産業界(デべ)に転身した後は、皆さんモノの知識は圧倒的にあるのですが、ファイナンスの知識が乏しい人が多かった印象があります。
不動産は投資金額が大きいという特性から、全て自己資金(フルエクイティ)で購入することはむしろ稀であり、必ずといっても何らかの資金調達が必要となります。
ましてや、J-REIT、私募リート、私募ファンドなどの集団投資スキームの裾野が拡張されている現代においては、ファインナンスの知識なしに不動産業界を渡り歩いていくにはますます困難になっています。
一方で、書店に「不動産ファイナンス」本を探し求めると、入門編でもかなり専門的知識がなければ理解できないなど、入門者にとっては入り口自体でもハードルが高いという印象があります。
そこで、今回から、不動産ファイナンスの入門編として、これらの入門本を読むための事前知識を提供するということコラム方式で連載していきたいと思います。
もちろん、この連載だけ読めば、実務の入り口に立てるところまでを書いていくつもりですのでご安心ください。
読んでほしい人は次のような方々です。
・いきなりアセットマネジメント会社への出向が決まったが、ファイナンスの知識がない。
・今後、ファイナンスの知識を生かして、不動産業界で活躍したい。
なお、不動産ファイナンスと言う言葉自体が、金融でなくファイナンスと言うカタカナ英語を使っていることから分かるように、最近は、不動産証券化スキームの浸透により、不動産ファイナンスでは、カタカタ英語が多用される傾向があります。
本編では、極力、伝統的な日本語にカタカナ英語や英語そのものを付して理解が深まるように工夫していきます。
各連載のタイトルは以下の通りです。
その1 【コーポレートファイナンスとアセットファイナンス】
その2 【借入比率と金利の関係】
その3 【ローンの法的位置づけ】
その4 【元本返済方式】
その5 【金利の決定要因】
その6 【ローンと担保(物的担保)】
その7 【ローンと担保(人的担保)】
その8 【不動産証券化とアセットファイナンス】
その9 【不動産ノンリコースローン】
その10 【不動産経営とノンリコースローン】
その1【コーポレートファイナンスとアセットファイナンス】
その2【借入比率と金利の関係】
その3【ローンの法的位置づけ】
その4【元本返済方式】
その5【金利の決定要因】
その6【ローンと担保(物的担保)】
その7【ローンと担保(人的担保)】
その8【不動産証券化とアセットファイナンス】
その9【不動産ノンリコースローン】
その10【不動産経営とノンリコースローン】
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